プロローグ
2015 04 追憶 Recollection
青い空、白い雲、それでも、まだ少し肌寒さを感じる。
カランカランと軽やかな鐘がなる。
清々しい空気が少し慌てた。
先ほど神様の前で愛を誓ったばかりの新郎新婦が太陽を反射する階段の上に立った。
二人を祝福する拍手が包み込む。
おめでとうと心の底から俺も祝福した。
新郎新婦は階段の一礼した。
新郎が右手を掲げる。
掲げた右手には何か大きな光るものが握られている。
見たこともない大きなジョッキだった。
「今日は思う存分飲んでってください。」
新郎が叫んだ。
会場は笑い声に溢れた。
よく教会で結婚式挙げたものだ。
これは二人なりのけじめなのかもしれないと俺は思った。
さて、しばらくは退屈な挨拶の時間だ。
俺は披露宴会場へと移動する列に加わった。
あれから10年ぐらいは経っている。
あの時のことは良い意味でも悪い意味でも、今後記憶から消されることはないだろう。
俺はあの時、二つのことを決めた。
一つは自分と自分の周りの人を信じること。
もう一つは神様を信じないことだ。
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