ラムを見送ってからとても長い時間が過ぎたけど、太陽の位置はあまり変わっていない。
ミンタが太陽に手を伸ばす。
今日はめずらしく本を読んでいない。
「兄ちゃんはなんであの日、白い人からもらった紙を破ってしまったのかな。」
僕にわかるわけないじゃないか。
「白い人に渡されたものは大切にしなきゃいけない。約束だ。俺たちの祖先と同じ過ちを犯してはいけない。」
兄ちゃんは僕たちに約束させた。
それなのに、あの日、兄ちゃんは白い人から受け取った紙を破った。
ミンタは何で今この話をしたのだろう。
空を見上げると、相変わらず太陽は同じ場所にいる。
太陽が少しだけ動いた時、ラムが帰ってきた。
ラムは泣いていた。
でも笑っていた。
右手にはバーガーショップの紙袋を握りしめている。
それを見たミンタも驚いたことに泣きだした。
でも笑っている。
僕も泣いていた。
でも笑った。
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