「マルゴット、本はすごいぞ、いろいろな本を読んで知識を増やしていけば、きっとあの星にも行けるんだ。」
その日、兄ちゃんは夜空に輝くオリオン座を見ながら僕たちに教えてくれた。
僕たちも色んな本を読んで、兄ちゃんとあの星に行きたいと思った。
兄ちゃんと同じ世界に生きたいと思った。
その日から僕たちは兄ちゃんに文字を教えてもらうことにした。
文字はとても不思議な力を持っていた。
文字を読めるようになると、スラムでの生活でさえ自然と安全なものになっていった。
今まで読めなかった危険を示す看板や、道具の使い方がわかるようになったし、スラムに落ちているゴミだと思ってたものが宝の山に変わっていった。
何より、文字をしったことで、何かを理解するという純粋な楽しさを生まれて初めて感じることができた。
そして、もう1つ、僕たちは「夢」を描けるようになった。
あの日以来、僕はオリオン座に行きたくてしかたがない。
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