集団と自由と信仰と　　

　私は宗教自体にあまり肯定的ではない。もちろん、信じている人に対してどうこう言うつもりはあまりないが、信仰に知らず知らずのうちに自由を侵食されてしまう人は少ない方が良いと思っている。人生は自ら思考し、選択をすることが豊かさだと思う。私は多くの人に自分の人生を選び生きてほしいと考えている。

【社会における安全と自由の交換】

　マズローによると人は５段階の欲求を持つという話は有名で、この法則を見るとなるほどと納得する人の方が多いだろう。

　今回注目するのはマズローの法則そのものではない。一番注目したいのは、欲求を考える前提に「社会」が組み込まれていることだ。人は自然と集団になりたい生き物なのである。

　単純な「力」で他の動物に劣る人類は集団で暮らすことで、安全を確保してきた。これは非常に合理的なことであるが、同時に集団で過ごすことにより、その集団の秩序を守るため、ある程度のルールが必要となり、自由を失うことにもなる。

　合理的な判断で安全を追求した結果、人々はその安心と引き換えに自らの自由を失ってきた。