2015 05 祝杯 Raise a toast
拍手の音で現在に戻される。
マイクの前で剛の高校のサッカー部の顧問が頭を下げて自席に戻っていく。
ようやく、最後の挨拶が終わったと思ったら宏太が前に呼ばれた。事前に知らされていなかったのか、宏太にしてはめずらしく慌てている。
宏太は剛から巨大ジョッキを渡され、そのままマイクの前に立つよう促された。
マイクの前に立ってからも剛に少し待てと手を挙げている。
何を言うかなやんでいるところに、三浦さんが両手に瓶ビールを持ってちかづいていく。そのまま宏太の巨大ジョッキに二本の瓶ビールを豪快に注ぎ込むと、宏太の肩をポンポンと二回叩いて席に戻った。
会場のあちこちからすでに笑い声が聞こえている。
「えー。杯を乾かすと書いて乾杯と言います。このジョッキで僕のお祝いの気持ちを伝えます。剛、美琴さん、結婚おめでとう。乾杯。」
巨大なジョッキが大きな拍手とともにチャンピオンズリーグのトロフィーのように高々と掲げられた。
ー完ー
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